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2015年4月5日日曜日

フィリピンに1ヶ月語学留学してみて

研究室に配属になる前の人生最後?のまともな長期休みを使って約1ヶ月間フィリピンのBaguioという山奥(マニラからバスで7時間くらい)にある語学学校(Pines International Academy: PIA)に留学してきました。

1.なんでそんな辺ぴなところに行ったのか
(0)英語やらないとマズイ
大学に入ってから英語を喋らないといけない状況が徐々に増えていき、ついに喋れないとやっていけない状況に追い込まれつつあったので、一回本腰を入れて勉強したほうが良いと思って留学を決めました。

(1)安い
普通欧米に1ヶ月留学すると50〜60万円簡単に飛びますが、フィリピンの場合航空券等いろいろ含めても20万円程度です。大学生のバイト代でなんとかなってしまうレベルです。

(2)授業の密度が高い
欧米の一般的な授業時間割というと1日3〜4コマだけやったらあとは解散という所がほとんどなのに対して、こちらだと1日10コマ前後の授業をとることになります。宿題も出るので、一日相当な時間を勉強に割くことになります。1年とか長期間いたらたぶん飽きて来ますが、1〜2ヶ月で集中的に叩きこむにはいい環境だと思います。

(3)英語を喋らざるを得ない
これはフィリピン内でも一部の学校にしか当てはまらないのですが、僕が行ったPIAに関しては、初中級キャンパスと上級キャンパスがあって、上級の人はEnglish Only Policyといって英語以外を口にしてはいけないというルールが適用されるので、英語を喋らざるを得ません。もし母国語をしゃべると毎回罰金が課せられます。

(4)新興国を見たかった
学部生のうちに一回で良いので新興国の街の様子を自分の目で見てみたかったというのもひとつの要因です。


2.なにをしてきたのか
(1)コース
私が選んだのはTOEFLコースでPIAの中でも最もしんどいと言われるコースです。レベルが初・中・上と3つあって、僕は前半を中級、後半を上級の内容をやって過ごしました。どうせ院試で取らなきゃいけないというのと、アカデミックの世界で使うような英語能力を固めたかったというのが選んだ理由です。

(2)授業内容
(リスニング&リーディング)
この辺は日本人も中高生でいろいろやっているので、そんなに真新しいことはやってないです。基本的にひたすら練習問題を解き、宿題でまた練習問題を解きの繰り返し。

(スピーキング)
実は、アメリカから帰国後から英語に危機感を感じ、大学のオプション授業で英会話やってたので、初期の段階では質問されたらシンプルな文章で文法的にもある程度正しく返答できるレベルではありました。授業では、問題形式に合わせて返答する練習だけでなく、ある程度入り込んだ複雑な話題に対して、複雑な文章で答える練習もしました。例えば、「なぜ日本人は一神教的ではなくと多神教的なマインドを持っているのか?」といったような、日本語でもできるか怪しい議論を先生からふっかけられて悩みつつ答えるのを繰り返してました。

(ライティング)
日本でまともにライティングの指導を受けたことが無かったので、どんなことやるのかなと思っていたらこれが最大の地獄で、最大の伸びを見せた授業でした。毎日毎日エッセイエッセイエッセイ、宿題でもエッセイエッセイエッセイ。(韓国人の友人にお前はエッセイが友達なんだなと言われるほど)最初は1日合計400語程度だったのが、日を追うごとに先生がアクセプトしてくれるラインがレベルアップしていき、最終的に一日に合計1500語のエッセイを書くようになりました。何も知らなかったところから、構造やアカデミックライティングのルールを学び、最後は英語圏の大学に留学しても宿題がこなせる最低ラインに引っ張りあげてもらえました。受験勉強やってた頃たった100語程度の英作文で息を切らしてたころが懐かしいです。

(発音クラス)
アメリカ英語の発音を教えてもらう授業です。クラスメイトが賑やかで終始和やかな授業でした。意外とちゃんと分かってない発音があることに気づいたり、発音できるまでとことん付き合ってくれました。

(3)学内の雰囲気
上級キャンパスなので、みんなTOEICでいうと800〜900点台くらいの人たちが集まっていたので、当然のことながらみんな英語をしゃべり生活しています。国籍としては、一番多いのが韓国でその次に日本、あと中国とかサウジアラビアの人とかがちらほらといった感じです。生活していて、これが英語で伝えられなくて困ったということはみんな特になさそうでした。生活してみると気づくのですが、日常的な会話(きみどこの国出身なの?とかこの前行ったどこのレストランが美味しかったとか)に関しては、大した英語力なんて要らないんですよね。よく学位留学でアメリカとかに行った人が、思ったより英語伸びなかったと言っていた意味が分かった気がしました。自分から積極的に努力して難しい話題について説明する練習をしたりとかしないとすぐに伸び悩みます。

(4)宿舎
宿舎が学校と一緒になっていて、授業を受けてる間に、ハウスキーピングの人が掃除してくれたり、服もクリーニングの人がやってくれました。ご飯も日韓メニューが毎回出ます(外の衛生的に危険そうな料理を食べなくて済む)。韓国人は毎日こんな辛いの食べてるのかっていうのがよくわかりました。(辛いのがダメな人用のメニュー有)

(5)成果?
PIA内でTOEFLの模擬テストが最初と最後、合わせて2回あって(明らかに本番より難しい)、結果としては、結構伸びてました。5月に本番のテスト受けるので、このまま勉強は続けて、その時には出来ればTOEFL100点以上とりたいです。

総じてPIAは良い学校でした。一つ難点を上げるとすると、村の中にぽつんとキャンパスがあるので、周りに何もないことでしょうか。(学校をプリズンと呼ぶ学生も有り)ただ、平日は勉強以外できないような状況に置かれるので、私個人としては気になりませんでした。遊びもガッツリやりたいという人には勧めません。(もちろん土日は外出できます)


3.フィリピンの街
(1)雰囲気
どんな雰囲気ですかと聞かれたら、新しい施設を除いては、基本的に東南アジアのドキュメンタリー番組のテレビ画面を思い浮かべて貰えればそれがそのまま続いているような感じです。「これが新興国ってやつかぁ」という雰囲気が味わえます。あと、フィリピン人は歌って踊るのが大好きな人たちです。そのへんで働いている人たちが、仕事中に突然歌い出す場面を多々目撃しました。(それもホワイトカラーの人たち)日本だったら怒られてるでしょうが、それが全然許容されるのがこの国です。

(2)物価
よく言われるのが、通貨としては日本円÷3で、物の価値は日本の1/10という目安ですが、フィリピンの物価は物によっていろいろです。食べ物と乗り物は安くて、タクシーは東京でいう都営バスくらいの感覚(100〜200円位)で乗れます。家電とかになると実は日本と一緒かそれ以上だったりする場合があります。

(3)フィリピンクオリティ
フィリピン衛生面はお世辞にもいいとは言えません。空気は排気ガスで汚染されていて、外出したあとに鼻を噛むと黒いのが出てきます。スーパーの肉売り場は肉が腐ったような匂いがしていて、外の屋台では、なま物が直射日光の下においてあったり、スラム街の方はゴミの山の横に住んでいる人もいます。フィリピンの平均寿命が50〜60歳くらいというのを聞いて納得してしまいました。あと、本の紙質とか、プリンターのインクとか、売り物でも日本に比べると結構質が低かったので、買い物するときは、それ相応の覚悟が必要です。

(4)治安
フィリピンでは、スーパー、ホテル等公共の施設に入るときに、ほとんどの場合ガードマンにボディチェックと持ち物検査をされます。危ない人を中に入れないためのようですが、正直結構ゆるい気がします笑。私のいたBaguioはフィリピン国内でも最も治安の良いと言われる都市なので、カリフォルニアの裏道に入ったときの「これ殺されるんじゃないだろうか?」という感じはいだきませんでした。とは言っても、財布をすられた知り合いもいるので、日本ほど治安がいいというわけではないです。マニラも何か盗まれたとか、ぼったくりにあったとかよく聞くので割と注意が必要でしょう。あと、要注意なのがミンダナオ島周辺です。ここはイスラム武装勢力と公安がドンパチやってるところなので特別な用事が無い限り行かないほうがいいです。

(5)日本の影響
フィリピンはまずスペイン、その後日本、そしてアメリカと3回占領された歴史があり、現在はアメリカの影響をかなり大きく受けているように感じました。現地では教育が国語以外全て英語で行われ、英語が喋れるということは学校に行っていた証のようなものです。また、街には至るところに白人の男女が描かれた看板やCMがあふれていて、テレビもCNNなどアメリカ由来のものがあちこちで見られます。日本との関連を話すと、道路を見ると走っている車はほとんど日本車です。(トヨタや三菱、いすゞなど)彼らからすると、テクノロジーは日本や韓国から来ているという感覚があるようです。また、日本はフィリピンよりも給与水準が高いため、理想的な出稼ぎ先の対象になっているようです。(サウジアラビアでトラックドライバーをやっていたタクシーのおじさんと仲良くなって教えてもらいました。)

(6)宗教
フィリピンはアジアのバチカンと言われるほどキリスト教徒の割合が多い国です。キリスト教の中でもカトリックが主なようですが、私のスピーキングの先生曰く、最近はプロテスタントに移る人が結構増えてきているそうです。その先生は、毎朝早めに起きて、聖書を読みながら今までの自分を振り返って今日やることを決めるんだそうで、自己啓発の手法の一種のように感じました。あと、先生は一神教のアイデンティティから見て、科学とはどんな立ち位置にあるのかについて、面白そうな本を読んでいたので、紹介してもらったりしました。

4.その他・番外編
(1)英語で考えるということ
PIAに来てから、できるだけ英語を使おうと思って、考え事も英語でやろうとして気づいたのが、母国語以外で考え事すると、創造性も生産性も落ちると言うことです。噂で聞いたことはあったのですが、どうやら嘘ではなさそうです。それに気づいてからは、日本語で深いところまで考えてから英語でしゃべるようにしてました。思ったより英語を話すスピードとかには影響無かったです。あと、なぜだかよくわかりませんが、英語で会話すると結構いろんな物に対してbecauseで理由をつけて話すことになるので、日本語で会話してたら考えたこともないような事(例:好きな色とその理由を3つあげよ)まで考える機会がありました。「そんなの直感でしょ」と頭には浮かぶものの、そう答えるわけにもいかないので、無理やり答えひねり出して見たりしてました。

(2)フィリピンにおける著作権
フィリピン内のデパートに行くと見るからに海賊版と思われるCDやDVDが平然と売られています。家電量販店にあるPCのOSも海賊版がむしろメジャーみたいな感じでした。PIAの先生曰く、フィリピン人的には「これぐらいOKでしょ」とう感じらしいです。そして、取り締まる人も特にいない。日本は違法ダウンロード関係で逮捕者が出てるんだって言ったらめちゃくちゃ驚いてました。

(3)フィリピンの高速バス
海外で電車やバス、タクシーに乗る機会は多々あったのですが、高速バスは初めての体験で、日本との違いについて考えるのが面白かったです。最初に乗った夜行バスでは、運転手が眠気防止のためか、音楽をかけて歌を歌いながら運転していました。当然うるさくて寝られません笑い。帰りに乗った方は、日本よりも広いシートで、お菓子と飲み物まで付いてきました。どちらにしても日本には無いタイプのユニークなバスでした。

5.今後の展望
最後のアセスメント用のテスト終わってから、教務主任の先生と話し合って今後やるべきことを決めました。
(1)ある程度考えないと口から出てこないような複雑なトピック(社会問題など)に対して自然に受け答え出来るよう練習すること
(2)TOEFLやGREに出てくるような高尚なボキャブラリーを増やすこと
(3)定期的に英語でエッセイを書き続けること
(4)BBCラジオなどのような内容を速記でノートを取る練習を続けること

PIAで最上級クラスの人たちのビジネス向けの超フォーマルな英語聞いてカッコいいなと思ったので大学のオプションクラス等で機会があったらそれも勉強したいです。