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2016年4月1日金曜日

アメリカの大学の研究室で1か月研究できる機会があったのでまとめておく

1.なぜ行ったか

申請してみたら当たった.
巷では,「ハーバード」「スタンフォード」「MIT」などという文字列を含んだタイトルの書籍がベストセラーとして山積みになっていて,「日本はダメだから海外に出ていきましょう」という思考停止フレーズが書いてある.最近では学校側も,留学にみなさん出ていきましょうみたいなことをやっているが,説明会に行ってみれば皆テストの攻略法の話しかしていない.みんな何をしに行こうとしているのかいよいよ分からなくなってくる.みんな「留学」といういい感じの響きの言葉に踊らされているのではないだろうか?それともテストの達人にでもなりたいのだろうか? もちろん留学自体は視野を広げたり,海外にコネクションを作ったりするには良い手段であるとは思う.しかし,長期の留学となった場合,海外で学ぶ事のメリット・デメリットと日本で学ぶ事のメリット・デメリットをちゃんと天秤にかけなければ,「留学は良いことなのだ」と思いこんだ蛙が井の中から飛び出しても,実は大海だと思って飛び移った先はもっと狭い井の中だったということになりかねない.つまり,「留学は良いことなのだ」という考え方自体が「井の中の蛙」的な考え方になり得る場合があってもおかしくないということだ.「自分は○年も留学したから偉いのだ」と態度だけが大きくなったところで何の意味もない.自分が将来どうなりたいのかに合わせて最良の選択肢を選ぶのが賢い道だろう.今回の留学の目的は,アメリカは本当に「最良の選択」なのかという問の答えを探すことである.
(※以下,「最良の選択」とは,研究者の卵として大きく成長するために適した選択と定義し話を進める.)

2.何をやったのか

実際に研究室に入り込んで,プロジェクトをやる.人によるが,自分の場合はいくつか研究トピックのプロポーザルをあらかじめ指導教員に送っておいて,どれか一つ受け入れ先が都合のいいものをピックアップして貰ったような感じ.今回関わったのは化学,物理,機械工学の複合領域の共同研究プロジェクトで,どれにも首を突っ込んだことがある自分にとっては動きやすいフィールドだった.1か月間なので,成果を出すつもりは無かったが,運よく論文の一部になりそうな結果が得られた.日本で研究していた時と同じスタンスで,アイディアを形にするためなら誰にでもディスカッションを挑むようにしていた.自分の研究活動や,研究室内での雑談の様子からいろいろなものが見えてきた.

3.実際のところアメリカの大学院ってどうよ?

今までに個人的に見学or生活したことがある他の日米大学の研究室とも絡めて話す

個人的にこれは誤解だろと思っていること

(※筆者の専門分野の関係で話が材料科学の領域に偏る.その他の領域についてははっきり言って知らない.宇宙工学やコンピューター科学はアメリカの評判が良いと聞くけどよくわからない.)

・アメリカの大学院は給料が出るから日本より良い
日本にも学振DCや給付奨学金,リーディング大学院など,生活できる程度のお金が貰える経済支援システムがある.全員が通るわけではないが,これらに通るレベルの努力ができない日本人がファンディング付きの留学に行けるとは思えない.あと,アメリカの方が給料が高いという話があるが,物価を考えると大差ない場合が多い(と,日本の学振とアメリカ院の両方を経験している人が話していた).奨学金が無いアメリカの大学院生は結構貧困.

・アメリカには世界の優秀な頭脳が集まっている
悪い意味でとても院生とは思えない超低レベルな質問を見かけることが多々あった.もちろん優秀な人もいるが,日本にも優秀な人はいる.そしてダメな人もいる.

・アメリカの設備は良い
型番が全体的に古い物が多かった.数も少ないので順番待ちしていて研究が進まないといっている人をよく見かけた.テクニカルスタッフが常駐していて,困ったときに助けてもらえるというメリットはあるが,自分はトライアンドエラーのサイクルを速くしたいタイプの人間なので,デメリットの方が大きいと思っている.

・アメリカは予算がたくさんある
一見,トータルで多そうに見えても,人件費に多くが割かれるので残った部分を考えると日本の方がリッチな場合が多いと思う.ちょっとした部品を買うのにも一苦労.みんな結構イーベイで買い物をしていて,最初見た時は目を疑った.一方で,ものすごい予算を持っているところもある.日本にもそういう研究室はある.あと日本のように講座制を取っていないので,日本のように教授と准教授などが力を合わせて,各自の名前で各方面から複数の予算枠を取ってきて,合算すると大きな額になるというような技が使えない.特に新任の助教の研究室は助けてくれる人も少なくて本当に大変そう.

・アメリカの博士卒は就職に困らない
少なくとも私が周りで見かけた人たちは,就職に関して結構苦労していた.もちろん優秀な人はすんなり決まっていたっぽい.日本もそうだと思う.

・アメリカの大学院では結果を出していないと博士が取れない
結果を出していないのに博士をあげている時点で,その研究室は問題アリ(数十年がかりの素粒子実験プロジェクトなんかだと話は変わるが).実は日本にもアメリカにもそういう研究室はある.普通は論文を数本出すのが博士取得の目安で,国は関係ない.日本にも結果が出るまで博士を出さない方針の研究室はいくつもある.

・アメリカの大学院生はすごく勉強しているから知識が豊富
課題が多い分取れる授業が少ないのと,東アジアの大学に比べてスタートが格段に遅れているので,苦労して勉強しているのだろうけど,一部のちゃんと自習している人を除いて,知識が豊富だと思うことはなかった.どんな授業があるのか聞いてみたが,日本には無い良さそうな授業もあれば,日本でそれをやったら100%新聞に載るだろう(悪い意味で)という授業もあった.個人的には,授業を受けるより自分で本などを読んで勉強する方が自分のペースでできるし一番効率が良いと思っている.その領域のアウトラインが知りたかったら,Youtubeで検索すれば大体の分野の英語の授業のビデオが上がっているのでそれを使えばいいと思う.質問があったらその先生にメールすればいいと思う.(ビデオをUPするような先生は基本的に教育にものすごく力を入れている人なのでちゃんと答えてくれることが多い)結局,このインターネットが発達した時代,どの国でも自分で努力している人がたくさん知識を持っている.

・アメリカの大学院に来たら英語力が上がる
みんな研究で頭の中で考えるときは母国語なので,英語に浸っている時間は必ずしも多くなるわけではない.私の場合,日本では留学生と組んで実験をする機会が多々あったため,日常的に英語を使う機会が多かったが,アメリカに来てからはPCに向かってプログラムを書いている時間が多くなったため英語力が少し落ちた.英語伸ばしたかったら自分で勉強するか英語学校にでも行けばいい.

・実験の準備などを他のスタッフがやってくれる
最近巷でアメリカや中国では薬品の調合をやってくれるスタッフがいて,日本はダメという話が出回っているようだが,私は,学生は時間がかかってでも必ず手を動かすべきだと思う.設備や実験手順のテクニカルな細かいところまで分かってない人は,イレギュラーな場合に対応できないし,学会発表や論文投稿で必ずボロが出るし(そういう人を見かけることが結構ある),将来指導する立場になったときに現場で行われていることについていけなくなる.正直言って実験やその準備の代行は悪い部分の方が多いと思う.

良いところ

・3年生以下の学部生が積極的に研究しに来ている
私も大学の研究室に入る前から大学付属の研究所の研究室等に出入りして研究を行っていた.積極的な学生は教授たちにとっても好印象なので,受け入れてもらえることが多いが,日本でこのような制度(?)はほとんど知られていないように思う.一方アメリカの大学では,すべての大学ではないが,学部生の研究活動への参加を促しているところが多々ある.知識が無いのに何をやるのだろうと思うかもしれないが,基本的には院生のお手伝いをしながら勉強するような感じである.既に流れが出来ているので,あとから入ってくる新入生にとっても参加の障壁が低い.別に日本でできない事ではないので,研究に興味がある研究室配属前の学部生は,早いうちから積極的に研究活動に少しずつ参加していく事を勧める.(もちろん授業で基礎中の基礎を作るのが最優先)

(4)大事なこと

今回アメリカで研究してみて,日米どちらが「最良の選択」なのかを国で区別するのはナンセンスだなと思った.最終的に自分が得た結論は,究極的にはどこの国でもいいから「いい指導教員のいい研究室で修行しましょう」という一言に収まる.

個人的に思っているいい指導教員のいい研究室の基準

・興味のある研究テーマがある
当たり前.じゃないとモチベーションが保てない.

・悪いうわさが立っていない
これが一番大事かもしれない.特に内部の人たちから悪い噂が立っている研究室は本当にヤバい研究室であることがほとんど.口コミは大事.必ず研究室見学には行って,必ず教員の見ていないところで内部の学生と話をしてみること.実際に,ホームページ的には良さそうでも,見学しに行ってみたら研究室の学生全員から「第一希望でうちに来ちゃ絶対ダメ」と言われたことがある.

・教授が定年間際じゃない
まず,当然だが定年まで5年無いのにそこで博士まで進学しようとするのは無理(良い准教授が下に控えているなら良いが).有名な教授を探そうとすると60歳くらいの人が引っかかることが多々ある.年を重ねれば実績もその分多くなるので業界で有名になるのは割と当たり前.50歳以下の時点で有名な人は有能な教授だと思う.

・教授のことが嫌いじゃない
人間誰でも好き嫌いがあります.研究テーマが良くても,話をしてみた時に人として相性が悪いと感じたらやめた方が良い.

・予算が多い
特に実験をやる研究室は予算が多いほど,装置を買ったり,高価な薬品を扱えたり,いろいろなことが出来る.実験系じゃなくても,学会に出たり,論文を投稿したりするだけでそこそこお金が飛ぶので,お金があるに越したことはない.簡単な予算の調べ方は「(教員名) 科研費」でググること.どれぐらいの規模の科研費が入ってきているのかが書いてある.予算が取れていない研究室もすぐわかる.(科研費だけが研究費の調達先ではないので一概には言えない.JSTや企業との共同研究などの予算もあったりする.)日本以外でも,研究費の規模は公表されているものが多い.(NSFなど) 予算をちゃんと取ってきている教授の研究プロポーザルの書類やプレゼン資料を見せてもらうと凄く良い勉強になる.

・博士課程の人が多い
残りたくないような研究室には博士課程の学生はいません.ヤバい研究室だから博士がいないのか,単純に企業等に就職したい人が多かっただけなのかは見学に行って見極めた方が良い.院試で学部生が毎年全員消えるような所も要注意.専門性高い人材が多い研究室では,いろいろなプロジェクトが同時に動いていて,いろいろな分野の話を聞くことが出来るので知識の幅が広がる(自分の研究テーマの領域に閉じこもるか周りもちゃんと見て勉強するかは本人の気持ち次第.).

・留学生が多い
留学生がかなり多い研究室は,世界的に有名な研究グループだったりすることが多い.海外とのコネクションも多いので,国籍関係なく共同研究を行いやすい空気がある場合が多いように思う.あと,単純に多様性ある環境は楽しい.外国語の勉強もできる.

・ちゃんと論文投稿や学会発表をやっている
大学の研究室は研究を通して学生を責任もって教育する場所.人数のわりに外に結果を全く出せないような研究室は何かしら問題を抱えていると思う.あと,院生が第一著者の論文がちゃんと出ていることも大事.学生と教員がちゃんとディスカッションを重ねていないと,学生がジャーナル論文を書くのは本当に大変(とくに初めてファーストで書く論文).論文執筆の指導がされてない所だと多数の論文の第一著者が教員名になっていたりする.

・質の良い論文が出ている(質の悪い論文を量産していない
論文を読んで,質が良いか悪いかを判断するのは研究を始めたばかりの人には厳しいが,もし見分けがつくなら,この基準も結構使えると思う.教授の科学に対する真摯さや,センスの良さが問われる部分.(質が悪い論文というのは理論の仮定が根本的に意味不明だったり,考察がしょぼかったり,どんな心の目を使っても引けないような直線がグラフに引いてあるようなものなどを指す,と筆者は思っている)見分けがつかないなら分かる人に聞くのもアリだと思う.

以上,長くなったが,学部生生活最後に良い経験が出来た.
何でも世の中疑ってみると意外と面白いものである.


ご意見や追加情報がある方,大歓迎です.
(※あくまで私の考えなので,異論はあって当然です)

2015年4月5日日曜日

フィリピンに1ヶ月語学留学してみて

研究室に配属になる前の人生最後?のまともな長期休みを使って約1ヶ月間フィリピンのBaguioという山奥(マニラからバスで7時間くらい)にある語学学校(Pines International Academy: PIA)に留学してきました。

1.なんでそんな辺ぴなところに行ったのか
(0)英語やらないとマズイ
大学に入ってから英語を喋らないといけない状況が徐々に増えていき、ついに喋れないとやっていけない状況に追い込まれつつあったので、一回本腰を入れて勉強したほうが良いと思って留学を決めました。

(1)安い
普通欧米に1ヶ月留学すると50〜60万円簡単に飛びますが、フィリピンの場合航空券等いろいろ含めても20万円程度です。大学生のバイト代でなんとかなってしまうレベルです。

(2)授業の密度が高い
欧米の一般的な授業時間割というと1日3〜4コマだけやったらあとは解散という所がほとんどなのに対して、こちらだと1日10コマ前後の授業をとることになります。宿題も出るので、一日相当な時間を勉強に割くことになります。1年とか長期間いたらたぶん飽きて来ますが、1〜2ヶ月で集中的に叩きこむにはいい環境だと思います。

(3)英語を喋らざるを得ない
これはフィリピン内でも一部の学校にしか当てはまらないのですが、僕が行ったPIAに関しては、初中級キャンパスと上級キャンパスがあって、上級の人はEnglish Only Policyといって英語以外を口にしてはいけないというルールが適用されるので、英語を喋らざるを得ません。もし母国語をしゃべると毎回罰金が課せられます。

(4)新興国を見たかった
学部生のうちに一回で良いので新興国の街の様子を自分の目で見てみたかったというのもひとつの要因です。


2.なにをしてきたのか
(1)コース
私が選んだのはTOEFLコースでPIAの中でも最もしんどいと言われるコースです。レベルが初・中・上と3つあって、僕は前半を中級、後半を上級の内容をやって過ごしました。どうせ院試で取らなきゃいけないというのと、アカデミックの世界で使うような英語能力を固めたかったというのが選んだ理由です。

(2)授業内容
(リスニング&リーディング)
この辺は日本人も中高生でいろいろやっているので、そんなに真新しいことはやってないです。基本的にひたすら練習問題を解き、宿題でまた練習問題を解きの繰り返し。

(スピーキング)
実は、アメリカから帰国後から英語に危機感を感じ、大学のオプション授業で英会話やってたので、初期の段階では質問されたらシンプルな文章で文法的にもある程度正しく返答できるレベルではありました。授業では、問題形式に合わせて返答する練習だけでなく、ある程度入り込んだ複雑な話題に対して、複雑な文章で答える練習もしました。例えば、「なぜ日本人は一神教的ではなくと多神教的なマインドを持っているのか?」といったような、日本語でもできるか怪しい議論を先生からふっかけられて悩みつつ答えるのを繰り返してました。

(ライティング)
日本でまともにライティングの指導を受けたことが無かったので、どんなことやるのかなと思っていたらこれが最大の地獄で、最大の伸びを見せた授業でした。毎日毎日エッセイエッセイエッセイ、宿題でもエッセイエッセイエッセイ。(韓国人の友人にお前はエッセイが友達なんだなと言われるほど)最初は1日合計400語程度だったのが、日を追うごとに先生がアクセプトしてくれるラインがレベルアップしていき、最終的に一日に合計1500語のエッセイを書くようになりました。何も知らなかったところから、構造やアカデミックライティングのルールを学び、最後は英語圏の大学に留学しても宿題がこなせる最低ラインに引っ張りあげてもらえました。受験勉強やってた頃たった100語程度の英作文で息を切らしてたころが懐かしいです。

(発音クラス)
アメリカ英語の発音を教えてもらう授業です。クラスメイトが賑やかで終始和やかな授業でした。意外とちゃんと分かってない発音があることに気づいたり、発音できるまでとことん付き合ってくれました。

(3)学内の雰囲気
上級キャンパスなので、みんなTOEICでいうと800〜900点台くらいの人たちが集まっていたので、当然のことながらみんな英語をしゃべり生活しています。国籍としては、一番多いのが韓国でその次に日本、あと中国とかサウジアラビアの人とかがちらほらといった感じです。生活していて、これが英語で伝えられなくて困ったということはみんな特になさそうでした。生活してみると気づくのですが、日常的な会話(きみどこの国出身なの?とかこの前行ったどこのレストランが美味しかったとか)に関しては、大した英語力なんて要らないんですよね。よく学位留学でアメリカとかに行った人が、思ったより英語伸びなかったと言っていた意味が分かった気がしました。自分から積極的に努力して難しい話題について説明する練習をしたりとかしないとすぐに伸び悩みます。

(4)宿舎
宿舎が学校と一緒になっていて、授業を受けてる間に、ハウスキーピングの人が掃除してくれたり、服もクリーニングの人がやってくれました。ご飯も日韓メニューが毎回出ます(外の衛生的に危険そうな料理を食べなくて済む)。韓国人は毎日こんな辛いの食べてるのかっていうのがよくわかりました。(辛いのがダメな人用のメニュー有)

(5)成果?
PIA内でTOEFLの模擬テストが最初と最後、合わせて2回あって(明らかに本番より難しい)、結果としては、結構伸びてました。5月に本番のテスト受けるので、このまま勉強は続けて、その時には出来ればTOEFL100点以上とりたいです。

総じてPIAは良い学校でした。一つ難点を上げるとすると、村の中にぽつんとキャンパスがあるので、周りに何もないことでしょうか。(学校をプリズンと呼ぶ学生も有り)ただ、平日は勉強以外できないような状況に置かれるので、私個人としては気になりませんでした。遊びもガッツリやりたいという人には勧めません。(もちろん土日は外出できます)


3.フィリピンの街
(1)雰囲気
どんな雰囲気ですかと聞かれたら、新しい施設を除いては、基本的に東南アジアのドキュメンタリー番組のテレビ画面を思い浮かべて貰えればそれがそのまま続いているような感じです。「これが新興国ってやつかぁ」という雰囲気が味わえます。あと、フィリピン人は歌って踊るのが大好きな人たちです。そのへんで働いている人たちが、仕事中に突然歌い出す場面を多々目撃しました。(それもホワイトカラーの人たち)日本だったら怒られてるでしょうが、それが全然許容されるのがこの国です。

(2)物価
よく言われるのが、通貨としては日本円÷3で、物の価値は日本の1/10という目安ですが、フィリピンの物価は物によっていろいろです。食べ物と乗り物は安くて、タクシーは東京でいう都営バスくらいの感覚(100〜200円位)で乗れます。家電とかになると実は日本と一緒かそれ以上だったりする場合があります。

(3)フィリピンクオリティ
フィリピン衛生面はお世辞にもいいとは言えません。空気は排気ガスで汚染されていて、外出したあとに鼻を噛むと黒いのが出てきます。スーパーの肉売り場は肉が腐ったような匂いがしていて、外の屋台では、なま物が直射日光の下においてあったり、スラム街の方はゴミの山の横に住んでいる人もいます。フィリピンの平均寿命が50〜60歳くらいというのを聞いて納得してしまいました。あと、本の紙質とか、プリンターのインクとか、売り物でも日本に比べると結構質が低かったので、買い物するときは、それ相応の覚悟が必要です。

(4)治安
フィリピンでは、スーパー、ホテル等公共の施設に入るときに、ほとんどの場合ガードマンにボディチェックと持ち物検査をされます。危ない人を中に入れないためのようですが、正直結構ゆるい気がします笑。私のいたBaguioはフィリピン国内でも最も治安の良いと言われる都市なので、カリフォルニアの裏道に入ったときの「これ殺されるんじゃないだろうか?」という感じはいだきませんでした。とは言っても、財布をすられた知り合いもいるので、日本ほど治安がいいというわけではないです。マニラも何か盗まれたとか、ぼったくりにあったとかよく聞くので割と注意が必要でしょう。あと、要注意なのがミンダナオ島周辺です。ここはイスラム武装勢力と公安がドンパチやってるところなので特別な用事が無い限り行かないほうがいいです。

(5)日本の影響
フィリピンはまずスペイン、その後日本、そしてアメリカと3回占領された歴史があり、現在はアメリカの影響をかなり大きく受けているように感じました。現地では教育が国語以外全て英語で行われ、英語が喋れるということは学校に行っていた証のようなものです。また、街には至るところに白人の男女が描かれた看板やCMがあふれていて、テレビもCNNなどアメリカ由来のものがあちこちで見られます。日本との関連を話すと、道路を見ると走っている車はほとんど日本車です。(トヨタや三菱、いすゞなど)彼らからすると、テクノロジーは日本や韓国から来ているという感覚があるようです。また、日本はフィリピンよりも給与水準が高いため、理想的な出稼ぎ先の対象になっているようです。(サウジアラビアでトラックドライバーをやっていたタクシーのおじさんと仲良くなって教えてもらいました。)

(6)宗教
フィリピンはアジアのバチカンと言われるほどキリスト教徒の割合が多い国です。キリスト教の中でもカトリックが主なようですが、私のスピーキングの先生曰く、最近はプロテスタントに移る人が結構増えてきているそうです。その先生は、毎朝早めに起きて、聖書を読みながら今までの自分を振り返って今日やることを決めるんだそうで、自己啓発の手法の一種のように感じました。あと、先生は一神教のアイデンティティから見て、科学とはどんな立ち位置にあるのかについて、面白そうな本を読んでいたので、紹介してもらったりしました。

4.その他・番外編
(1)英語で考えるということ
PIAに来てから、できるだけ英語を使おうと思って、考え事も英語でやろうとして気づいたのが、母国語以外で考え事すると、創造性も生産性も落ちると言うことです。噂で聞いたことはあったのですが、どうやら嘘ではなさそうです。それに気づいてからは、日本語で深いところまで考えてから英語でしゃべるようにしてました。思ったより英語を話すスピードとかには影響無かったです。あと、なぜだかよくわかりませんが、英語で会話すると結構いろんな物に対してbecauseで理由をつけて話すことになるので、日本語で会話してたら考えたこともないような事(例:好きな色とその理由を3つあげよ)まで考える機会がありました。「そんなの直感でしょ」と頭には浮かぶものの、そう答えるわけにもいかないので、無理やり答えひねり出して見たりしてました。

(2)フィリピンにおける著作権
フィリピン内のデパートに行くと見るからに海賊版と思われるCDやDVDが平然と売られています。家電量販店にあるPCのOSも海賊版がむしろメジャーみたいな感じでした。PIAの先生曰く、フィリピン人的には「これぐらいOKでしょ」とう感じらしいです。そして、取り締まる人も特にいない。日本は違法ダウンロード関係で逮捕者が出てるんだって言ったらめちゃくちゃ驚いてました。

(3)フィリピンの高速バス
海外で電車やバス、タクシーに乗る機会は多々あったのですが、高速バスは初めての体験で、日本との違いについて考えるのが面白かったです。最初に乗った夜行バスでは、運転手が眠気防止のためか、音楽をかけて歌を歌いながら運転していました。当然うるさくて寝られません笑い。帰りに乗った方は、日本よりも広いシートで、お菓子と飲み物まで付いてきました。どちらにしても日本には無いタイプのユニークなバスでした。

5.今後の展望
最後のアセスメント用のテスト終わってから、教務主任の先生と話し合って今後やるべきことを決めました。
(1)ある程度考えないと口から出てこないような複雑なトピック(社会問題など)に対して自然に受け答え出来るよう練習すること
(2)TOEFLやGREに出てくるような高尚なボキャブラリーを増やすこと
(3)定期的に英語でエッセイを書き続けること
(4)BBCラジオなどのような内容を速記でノートを取る練習を続けること

PIAで最上級クラスの人たちのビジネス向けの超フォーマルな英語聞いてカッコいいなと思ったので大学のオプションクラス等で機会があったらそれも勉強したいです。

2013年9月13日金曜日

研究活動休止

夏学期は学校の研究制度を使って、大学の研究所の研究室でしばらく研究していました。UROP(Undergraduate Research Opportunity Program)と呼ばれるこの制度、
もともとはアメリカのMITから輸入された、ユニークな制度です。
http://web.mit.edu/urop/

前にも少し書いたかもしれませんが、この制度で
私は修士2年の留学生の先輩と組んで、企業との共同研究を行いました。

ある程度はっきりした成果も出すことが出来て
査読付きとまではいきませんが、学会の講演論文にはセカンドとして
名前を入れていただいてます。先輩も学位取得の見込みがついたようで何よりです。

昨日はその発表会ということで、同じようにこの制度で研究している人たち同士で
15分ずつ発表しました。明らかに、半年では結果が出ないような難しいテーマにチャレンジしている人や
新発見かもしれないデータを出してきている人もいて、とてもいい刺激になりました。
私はというと、外国人だらけの研究室環境をフル活用して、
英語でプレゼン資料を作り発表することにチャレンジしました。
研究室内で、添削を先輩方にお願いしたときは、たくさん直されましたが
今まで知らなかった、英語独特のプレゼンのルールが分かってすごく勉強になりました。

高専の時から考えると
鉄鋼材、被膜、高分子材、積層材(複合材)、ということで、
構造材料の特性とその加工について、2年半ぐらいかけて
一通り研究を体験できたんじゃないかと思います。

研究のプロセスとか、実験のセンスとか、研究室の雰囲気
予算のこと、研究者の役職別の仕事、査読付き論文ができるまでとか
研究に関して、本当にたくさんのことを体で学べました。

今年に関しては、企業の研究所内も見ることが出来、
アカデミックとは違う研究の世界を知ることも出来ました。

研究というのは面白いことだと思うし、ずっとやっていたいとさえ思います。
けれども、私はここでいったん研究をストップします。

じゃあ、これから学部卒業までの2年半何をやるのかというと、
理論の勉強にウェイトをシフトしていきます。

このまま大学の研究室潜り込んで、研究する場が与えられたら
また、いろんなことが学べますが
今のような、スカスカの知識の状態では、すぐに限界が来るし
論文書こうとしても、薄っぺらい考察しかできないでしょう。

これから、研究を本気でやっていくにあたって
いったん静かに修行に入ります。

専門課程がはじまる冬学期から院試ぐらいまでは、
もう1回学会賞取りに行くぐらいの勢いで勉強するつもりです。

2013年4月8日月曜日

新ブログ

ということで
今日からこちらに記事を書いていきます。

このブログからは、大学生活の日記だけでなく
自分の考えの発信にウエイトを置きたいと思います。


かなり忙しいので、たくさんの頻度で更新は
たぶん出来ませんがよろしくお願いします。